冬の話

2008年11月26日 日常
「東京の寒さは嫌い。刺すように寒いから。」
「地元の寒さって、深々と冷えるよね。足もとから」
「東京の寒さって耐えられない」
寒い地方の子とこういう話するのが毎年の習慣な気がするんだ。
そして、そういう話すると「冬」が来たな、って思うの。

地元の友達と笑う。
うちの地元の電車。
冬になると停車してもドアが開かないの。
ボタン押すと少しだけ開いて、そこに手をつっこんでドアを開けるの。
雑誌の特集のネタにあったけど、まさに自分事。
お互い三年間通った。電車通学。
寒空の中やっときた電車のドアのボタンを押して、あったかい車内に乗り込む。
二人は、下りと上りの電車にとびのり、同じ駅から南と北に帰った。

冬の海は寒い風。夜の海は真っ暗なんだ。
初めて気づいたの。
膝かけを二人とも足に巻いて、私の大きなストールに二人で包まれた。
どうしても肩をくっつけなくちゃ私の小さな体も彼の大きな体も入りきらないから。
あったかい船の中は、私には揺れが大きすぎて。
真っ暗の空と遠くの東京タワーをみつけて。寒空でも構わない。
スパークリングワインの泡がぷくぷくしているのが大好き。

「もう、クリスマスまで一か月切りましたね」ラジオから流れてくる。
12月にもなれば、クリスマスソングも流れてくるんだろうね。
クリスマスソングって何か切なくなるね。

All I want for Xmas with you.
くさいセリフが大好きな私は恋人(当時)に言ったんだ。
中学生だった。PHS越しの会話。
彼は英語が得意だった。二人でスピーチコンテストに出ていた位だったから。
意味も歌も知らなかったはずなんてない。
彼の電話越しの言葉は「ごめん」私が欲しかったのは彼だけだったの。
中学三年生のクリスマス。

「今日、誰と過ごしたの?ww」
クリスマスだって関係ない。私は塾があったから。終業式だったから。
携帯越しに聞こえてきたのは「彼女!」のろけだった。
好きだった。大好きだった。けどいつも待ちぼうけ。
その前に会ったのは「先輩」って紹介された女の人と一緒。
クリスマスの失恋。受験生。ちょっと痛かったね。
高校三年生のクリスマス。

「結婚する時は教えてね」
前に一度言ったの。
電話がかかってきて含んだしゃべり方「今日会おう。けどその前にちゃんと言うよ。結婚するかもしれない」
一緒に肩を並べて歩く。いつの間にか好きになっちゃった人。気づいた時には、もう手に入らなくなってた人。
「彼女へのクリスマスプレゼントがプロポーズ!?いいなぁ♪」
きっと私は笑ってるね。ホントは嫉妬の嵐なのに。
けどいいんだ。彼女の愚痴ばかりのあの人のきらきらの顔を久しぶりに見た。
「婚約指輪一緒に見に行く!」三人とも傷ついて、一番私が傷つく方法。
分かっていたのに我が儘を言う。
「それは駄目。ごめん」彼は雨の中、背を向けて走り出した。
きっと私の知らない所でキスをして細っこい彼女の指に指輪が光る。
白くて小さい彼女を細い彼が抱きしめるの。
大学五年生のクリスマス。

そして私は
我が儘言ったわけじゃないのに、恋人はその日程を空けてくれた。
最近冷めてた。正直、空けてくれなくてもいい。そう思ってた。
彼のぬくもりが恋しかった。けど冷静な目をして今日も仕事に行ってしまう。
寂しかった。柄にもない。恥ずい。けど、寂しかったの。
いっぱい喧嘩した。携帯が汚れてる。涙で汚れる。
和解。ことばだいじ。
今は恋人が大事。そう思える。
二人の五回目のクリスマス。
交互におうちに行ってる。今年は彼のおうちで彼の手料理を食べるのかな。
お外は寒いけど彼の体温であったまったお布団でぬくぬくする。
華奢で壊れそうな私をがっしりとした彼が抱きしめるの。
大学五年生のクリスマス。

冬だね冬だねもうすぐ冬だね。
私はぶっきょーと。
けど、クリスマスは恋人たちの特別な日なの。
All I want for Xmas with you~恋人たちのクリスマス~
和訳:クリスマスに私が欲しいのはあなただけ

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